【ルーティング機能】AD値の変更

複数のルーティングプロトコルが混在しているネットワークでは信頼度の高い(AD値の小さい)プロトコルが使用されます。

環境によっては、信頼度の低いプロトコルのルートの優先度を上げるためにAD値を変更する必要があります。



OSPFのAD値変更

(config-router)#distance {AD値} [送信元IP {ワイルドカード}] [ACL]

AD値:1~225

送信元IP:ルート情報元のIPアドレスを指定し、一致した場合AD値を変更

ACLACLを指定してpermitに一致した場合AD値を変更する。



EIGRPのAD値変更

(config-router)#distance eigrp {内部EIGRP AD値} {外部EIGRP AD値}

【 再配送 redistribute 】 設定

再配送の設定方法はプロトコルによって異なります。

EIGRPとOSPFへの再配送の設定は redistribute コマンドを使用し、下記のように行います。



OSPFへの再配送 ( redistribute )

(config)#router ospf {プロセスID}

(config-router)#redistribute {プロトコル} [metric {値} ] [metric-type {type}] [tag {tag}] [route-map {map名}] [subnets]

プロトコル:再配送元のプロトコルを指定します。[RIP] [EIGRP AS番号] [static] [connected]

・metric:シードメトリックを指定します。

・metric-type:OSPFの外部メトリックタイプ1か2を指定します。デフォルトは2です。

・tag:tag値をつける場合に0~4294967295の間で付加します。

・route-map:ルートマップを使用する場合に設定します。

・subnets:サブネット化されたルートはデフォルトでは再配送されないため、サブネット化されたルートも再配送する場合に設定します。



EIGRPへの再配送 ( redistribute )

(config)#router eigrp {AS番号}

(config-router)#redistribute {プロトコル} [match {条件}] [metric {metric}] [route-map {map名}]

プロトコル:再配送元のプロトコルを指定します。[RIP] [OSPF プロセスID] [static] [connected]

・match:再配送する経路を選択します。OSPFが再配送元の場合に設定できます。OSPFの内部ルートのみ、OSPFの外部メトリックタイプ1のみ、OSPFの外部メトリックタイプ2のみ等。

・metric:シードメトリックを指定します。(帯域幅、遅延、信頼性、負荷、MTU)

・route-map:ルートマップを使用する場合に設定します。

【IPv6】用語定義

デュアルスタック

ルータ、ネットワークがIPv4IPv6の両方使える状態のことを指します。

IPv4IPv6が混在する環境でデュアルスタック対応のルータガ必要になります。



トランスレータ

IPv6IPv4の間でそれぞれの通信を変換する機能。

IPv6IPv4ネットワーク間に配置することでIPv6IPv4を意識せずに通信することができるようになります。

IPv6ヘッダとIPv4ヘッダを相互に変換するNAT-PT(Network Address Translation - Protocol Translation)が例としてあります。



ND(Neighbor Discovery)

ICMPv6メッセージとsoliciated-nodeマルチキャストアドレスを至当して同一セグメント上のネイバーのMACアドレスを解決します。



ステートレス自動設定

DHCP無しでIPアドレスを自動設定する機能。



エニーキャストアドレス

1対多数中の1の通信で使用するアドレス。グループ中の最も近いインタフェースが受信する。

IPv6で使用される。また、IPv6ではブロードキャストは廃止され、マルチキャストで補われている。



リンクローカルユニキャストアドレス

IPv6のスコープ3つのうちの1つ、リンクローカルで使用されるユニキャストアドレス。

リンクローカルは同一セグメント上の端末と通信する際に使用するアドレス。

リンクローカル宛てのパケットはルーティングされないのでルータを超えられない。





EUI-64

リンクローカルユニキャストアドレスのインタフェースIDを生成するのに使用される。

MACアドレス48ビットに「fffe」を追加して64ビットにするフォーマット。

【IPv6】OSPFv3

IPv6向けOSPFであるOSPFv3の設定手順について。





1.IPv6ルーティングを有効化

(config)#ipv6 unicast-routing



2.OSPFv3ルーティングプロセスの作成

ルーティングプロセスを作成し、ルータIDも指定する。IPv4アドレスが設定されたインタフェースを持つ場合は必須でない。

(config)#ipv6 router ospf {プロセスID}
(config-rtr)#router-id {ルータID}



3.インタフェースにアドレスを設定

(config)#interface {インターフェース}
(config-if)#ipv6 address {IPv6アドレス/プレフィックス長}



4.インタフェース上でOSPFv3を有効化

IPv4のOSPFではルータコンフィギュレーションモードで有効化するインタフェースを指定しましたが、OSPFv3ではインタフェース上で有効化の設定をします。

(config-if)#ipv6 ospf {プロセスID} area {エリア番号}

【IPv6】ACL

IPv6ACLは基本的にはIPv4ACLと同じように利用できます。全てに一致しない場合は暗黙のdenyによって処理されます。

設定方法

(config)#ipv6 access-list {ACL名}

(config-ipv6-acl)#{permit | deny} {プロトコル} {送信元} {宛先} {オプション}



適用方法

物理インタフェースへの設定

(config)#interface FastEthernet 0/0

(config-if)#ipv6 traffic-filter ACL_NAME [in/out]

VTYポートへの設定

(config)#line vty 0 4

(config-line)#ipv6 access-class ACL_NAME [in/out]



注意

IPv6ACLには、NDを許可する暗黙のルールが含まれています。

【IPv6】RIPng

RIPngとはRIP Next Generationの略で、IPv6環境で使用できるRIPです。

アルゴリズムは基本的にIPv4のRIPv2と同じで、ディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルです。

設定は下記の手順で行いますが、注意点としてRIPngを有効化させるインタフェースはインタフェースコンフィグレーションモードで行います。



1.IPv6ルーティングを有効化

(config)#ipv6 unicast-routing

2.RIPngプロセスの有効化

ルーティングプロセスを作成。プロセスは隣接ルータと一致させる必要はない。

(config)#ipv6 router rip {プロセスID}

3.インタフェースにアドレスを設定

(config)#interface {インターフェース}
(config-if)#ipv6 address {IPv6アドレス/プレフィックス長}

4.インタフェース上でRIPngを有効化

IPv4のRIPではルータコンフィギュレーションモードで有効化するインタフェースを指定しましたが、RIPngではインタフェース上で有効化の設定をします。

(config-if)#ipv6 rip{プロセスID} enable

【IPv6】NAT

IPv6のNATについて

NAT64

NAT-PTの後継にあたるNAT64はIPv6アドレスからIPv4アドレスに変換するために使用されます。また「ステートレスNAT64」「ステートフルNAT64」という2つの実装方式があり次のような違いがあります。

ステートレスNAT64は、1:1の変換。

ステートフルNAT64は多:1の変換を行います。